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開発2026-08-15

next build は通るのに next dev だけ壊れる:.next のキャッシュが原因の3パターン

全ルートが404になる。Turbopack が FATAL で起動しない。消すと直るのにまた再発する。どれもコードではなく .next 配下の状態が原因で、症状の形から見分けられる。

開発サーバーだけが死ぬ。next build は通る。tsc も通る。コードは触っていない。この形になったら、犯人はだいたい .next(Next.js がビルド生成物とキャッシュを置くディレクトリ)だ。踏んだ3パターンと、症状からの見分け方。

パターン1:build の直後に dev を起動すると、全ルートが404になる

事象

同じプロジェクトで一度 next build を流し、そのあと next dev を起動した。トップページを含む全ルートが404を返す。

厄介なのは、壊れているように見えないところだ。dev サーバー自体は起動して応答する。ターミナルにエラーも警告も出ない。アプリ側のコードも実行される。返るのが404なだけ。

原因

next build と next dev は同じ .next ディレクトリを使う。build が書いた本番用のマニフェスト(どのルートがどのファイルに対応するかの索引)が残ったところへ dev が起動すると、ルートの解決に失敗して404を返すことがある。dev の内部で何が起きているかまでは追っていない。ただ .next を消せば必ず直るので、原因がそこに残った状態にあることは確かだ。

CIやスクリプトで「ビルドが通るか確認してから開発に戻る」というワークフローを組んでいると踏みやすい。確認のつもりで流した build が、次の dev を壊す。

解決策

.next を消してから起動し直す。

rm -rf .next && npm run dev

これで dev 専用の .next が作り直される。build 検証をスクリプトに組み込んでいるなら、検証の後始末として rm -rf .next を入れておくと再発しない。

逆向き(dev を起動したまま build を流す)でも壊れるが、そちらは500と ENOENT で派手に落ちるので気づきやすい。別記事「next dev を動かしたまま next build すると dev サーバーが壊れる」に書いた。

パターン2:Turbopack の永続キャッシュが壊れて dev が起動しない

事象

next dev が「Ready」と出た直後に落ちる。curl で叩くと接続拒否になる。

FATAL: An unexpected Turbopack error occurred
thread '...' panicked at ...: Failed to restore task data (corrupted database or bug)
Unable to open static sorted file .../00000001.sst: No such file or directory

別の日には、こういう出方もした。

Failed to open database
Loading persistence directory failed
invalid digit found in string

文言は違うが、.sst ・ task data ・ restore ・ persistence あたりの語が並ぶのは共通していた。

原因

Turbopack は差分ビルドを速くするために、.next 配下へディスク上のデータベースとしてキャッシュを持つ。そこが壊れると起動時の読み込みで死ぬ。

コード側は何も悪くない。証拠に next build は通る。本番ビルドは別経路を通るので、dev のキャッシュ破損に巻き込まれない。この非対称が、原因をコードから引き剥がす手がかりになる。

解決策

同じく .next を消す。

rm -rf .next && npm run dev

キャッシュなので、消して困るものは入っていない。次回の起動が少し遅くなるだけだ。

パターン3:消すと直るのに、また出る

事象

パターン2を rm -rf .next で直した。数日後にまた同じエラーが出る。また消す。また出る。

原因

プロジェクトの置き場所を疑う。macOS で「デスクトップと書類フォルダ」を iCloud Drive に同期する設定を有効にしていると、~/Desktop や ~/Documents の下に置いたプロジェクトは、.next も含めて同期対象になる。

ここでストレージの最適化が働くと、しばらく使われていないファイルの実体をクラウドへ退避する。ローカルにはファイル名だけが残り、中身が無い状態(dataless)になる。Turbopack のキャッシュ実体がこれをやられると、次の起動で「あるはずのファイルが開けない」になる。エラーが No such file or directory と言っているのは、文字どおりの意味だった。

再生成できるビルド生成物が同期対象に入っていること自体が、そもそも噛み合っていない。

解決策

本命は、プロジェクトを iCloud の同期範囲の外へ出すこと。~/dev/ のようなホーム直下の別ディレクトリに移せば、この種の再発はまとめて消える。

すぐ移せない場合の暫定策は2つ。

  • Finder でプロジェクトフォルダを右クリックし「このMacにダウンロードしたままにする」を選ぶ(退避されなくなる)
  • システム設定の iCloud で「Macのストレージを最適化」を切る

.next だけを同期対象から外すオプションは無い。フォルダ名の末尾に .nosync を付けて除外する手はあるが、.next という名前は Next.js が決めるので、この方法は使えない。

同じ理由で、iCloud 配下ではネイティブビルドや git のオブジェクトも壊れることがある。iOS のアーカイブで踏んだケースは「iCloud同期フォルダ配下でネイティブarchiveが壊れる」に書いた。原因は同じで、退避されて困るものを同期の下に置いている。

見分け方

症状まず見るところ
全ルート404・エラーも警告も無し直前に next build を流していないか
.sst / task data / persistence を含む致命エラー.next のキャッシュ破損
rm -rf .next で直るが繰り返すプロジェクトの置き場所がクラウド同期の下でないか

効くパターン

3つに共通しているのは、next build と tsc がクリーンなのに next dev だけが落ちる、という非対称だった。この形を見たら、コードを読む前に .next を消す。1コマンドで、コード側の疑いを外せる。

順番を逆にすると高くつく。ソースを疑って調べ始めると、直っていないのに「たぶんこれ」という当たりを何個も作ってしまう。先に消せば、消しても直らなかったという事実が残るだけで済む。

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